NBAの収益分配制度についての記事をいくつか読んでみた。いまいちよくわかってなかったので。長い記事になったけど、別に難しいことを書いているわけじゃない。もっと儲けを赤字チームに分けろ、という話。
読んでみた感想ですが、個人的には、CBA交渉事項の中で、この制度改革が一番行われてほしいっす。キングスとかホーネッツとかバックスとかペイサーズファンの人はここ数年、心から切に願ってきたことかもしれませんが。
収益分配に関して改革が行われれば、チームが移転したり消滅するという話も減り、スターが移籍する回数が減るかもしれない。今年のNFLみたいに大波乱だらけ、という年も出てくるかもしれない。なにより俺みたいに見る気のなくなる人が減るかもしれない。ぼろぼろのチームであっても、既存のマゾ的ファン以外のまともな人が応援するようになるかもしれない。コスト削減目的の、腹立つトレードが少し減るかもしれない。
まぁ、たとえ収益分配制度を変えても、馬鹿なオーナーと賢いオーナーの差は埋められん。改革しても、ミルウォーキーやトロントを嫌がる選手の数はたいして変わらんでしょう。でも制度を変えれば、資金面でちょっとは格差が縮まって、オーナーがチームの存続よりもチームの勝利にちっとは気を使えるようになるんじゃないかと。
以下、Dグレンジャーとナゲッツファンの意見。
■Dグレンジャー
NBAの収益分配制度に関して、ペイサーズのグレンジャーが語っている記事。NBAはNFLやMLBに比べて収益の分配が少ないので、大都市以外の町は苦しむ傾向にある。そんなことについて語っている。
今のNBAのシステムに不満のあるDグレンジャー「俺達はシカゴやニューヨークやロサンゼルスのような、選手に好まれる町のチームじゃない。マーケットの小ささではNBAの中でも指折りだ。FAを獲得するのは難しい。だからこのチームはこれまでずっとドラフト中心のチームづくりをしてきた。乱闘事件まではチームづくりのシステムも機能していたけど、今の状況ではFAを獲得するのは難しい。強いチームと競争するのはきつい。スタメンがオールスター常連だらけのクレイジーなチーム(ボストンなど)、そして資金力のあるチームとやりあうのはきつい。それでも勝つ努力はしないといけないけども。そんな状況でもプレーオフに出てやろうと俺たちは当然思っている。」
「レイカーズ、ボストン、サンアントニオの好調など、ファンを引きつける話はたくさんあるのに、ロックアウトでファンを失うとしたらひどい話になる。でもそうなりそうな雰囲気だ。」
「実際、現行システムはフェアじゃない。NBAを存続させる気が関係者全員にあるなら、収益をもっと分配しないと。でないとバックスがレイカーズに対抗する手段なんてない。絶対に。ロサンゼルスがチケットを完売するかどうかなんてどうでもいい。今の制度のままだと、それに関係なくロサンゼルスはこれからも金を儲け続けれるんだから。」
■ナゲッツファン
収益分配制度に関して、ナゲッツファンが語っている記事。
・NBAとそれ以外のスポーツの違いについて、筆者「1980年以降、NFLやMLBやNHLでは、14以上のチームが優勝しているが、NBAで優勝したチーム数は8。しかもスモールマーケットのチームは2つ(スパーズとピストンズ)のみだ。大都市のチームの関係者はともかく、それ以外のチーム関係者やファンにとっては注意すべきことだ。」
「(国際&全国)テレビ放送とライセンス収入による収益の2つのみがチーム間分配されるという事実、そして高騰する選手の年俸。この2つの要因のせいで、多くのNBAチームは損を出し続けている。だからオーナーたちは選手組合と喧嘩はするが、次のシーズンを始めようというやる気がない。一方、NFLやMLBのオーナーたちはリーグを存続させようという意思があったので、結果、今ではみんな利益を享受している。」
「NBAでは、国際&全国放送とライセンス収入による収益は各チーム間で分配する。しかし、地元での放送権やスポンサー契約やチケット売上による収益は分配しない。NFLではチケットの売上による収益はホームチーム60%、アウェーチーム40%で分ける。MLBでは31%程が一度プールされて、全チームに分配される。だからパイレーツはここ20年最低なチームであるにもかかわらず利益が出ている。」
「記者の一人が「NBAのオーナーとして金儲けをしたいなら、サンアントニオで優秀なチームをつくるよりロサンゼルスで最低なチームを作ったほうが儲かる。」と言ったが、的確だ。この状況を改善するには、CBAの交渉の場で、オーナーサイドにウェリントン・マーラ(NFLの収益分配制度改革に関わった人。NYジャイアンツの元オーナー)のような人物が現れる必要がある。・・・でないと、儲かるチームとそうでないチームの格差は広がり続け、(ダラスのような)損が出ても投資し続ける気力のあるチーム以外は苦しむ。」
「スポーツファンならよく知っているだろうが、マーラは元ジャイアンツのオーナーで、非情に尊敬されていた。当時のNFLコミッショナー、ピート・ロゼールは「放送関係の収益を全チーム間で平等に分けたい」と提言して、(放送権でも儲けていた)マーラはそれに承諾したことで知られている。この収益分配制度により、チーム間の実力は拮抗し、リーグは32の個別の事業体ではなく1つの事業体となった。以降50年、NFLはアメリカのプロスポーツ界でトップに立っている。」
・改革の主導者はMキューバンが適任と思っている筆者「頼みは大都市チームのオーナーたちなのだが、ニックスのドーランとクリッパーズのスターリンは業界のパーリア(馬鹿にされている人)。レイカーズのバスは子供たちに運営を任せているので実質隠居状態。その次の規模の大都市、シカゴのラインズドルフはMジョーダンとの再契約ですら金を使う気はなかった(けちな男だ)。この中に収益分配制度改革を担ってくれそうな人はいない。・・・そこで私が期待しているのがダラスのMキューバンだ。彼についての批判は多いが、彼はスポーツ界について先見の明を持った人物だ。そこに異論はないはずだ。その彼の活動はNBAにとどまらない。今、彼は長年の大問題であったBCS(カレッジフットボールの王座決定戦)の方法を変えようとしている。彼ならチーム間格差を埋められるかもしれない。」
「私は長年のナゲッツファンで、シーズンチケットホルダーだ。NBAの収益分配制度の問題を認識している。デンバーのオーナー、クロエンケ一家は大都市チームに対抗するため、ナゲッツに積極的に投資してきた。だが09年にレイカーズと接戦を演じて勢いのあったときでさえ、ナゲッツは約1000万ドル以上の赤字だったと言われている。一方、レイカーズはひたすらに儲け続けていた。この現行制度のままでは、クロエンケ一家が投資を渋るのは確実だ。そして大都市にスターが去って行き、また一つ魅力のあるチームが消える。」
「NBAのオーナーたちは「選手の年俸高騰がビジネスモデルをむしばんでいる」「30%以上の年俸カットが必要だ」と文句を言っているが、それはあくまで問題の一部だ。収益分配制度を変えない限り、(多くのチームが苦しいままという)問題は解決されない。NFLやMLBのような制度が必要だ。ウェリントン・マーラのような意思を持った人物がオーナーの中から現れないといけない。」
■補足(ウェリントン・マーラ)
ウェリントン・マーラについて補足。以下、この記事より。
「ウェリントン・マーラは2005年の今日亡くなった。知らない人は知っておくといい。というのも彼がいなければ、NFLはこれほどアメリカのプロスポーツ界で圧倒的な人気を得ることはなかった。」
「収益分配制度ができるまえ、マーラはNFLで最も力のあるチーム、ジャイアンツのオーナーだった。テレビの放送権の契約をしているチームは、当時はジャイアンツを含めて数えるほどだった。当時のコミッショナー、ピート・ロゼールは、このままでは富めるチームとそうでないチームの差が広がると感じた。大都市のオーナー、マーラたちが収益分配制度の案に賛同する必要があった。収益分配制度が成立したおかげで、今のNFLの繁栄がある。スモールマーケットのパッカーズがジャイアンツに対抗できているのはこのおかげだ。この制度がなければ今のパッカーズも、拮抗した力関係も存在してないはずだ。全てはこの合意のおかげだ。」
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